看護実習ポイント

老年看護実習

老年看護実習

老年看護実習とは

2013 年~ 2017 年の急性期看護学実習では、60 ~ 70%の学生が

60 歳代後半~ 80 歳代前半の患者を受け持っていたと報告¹⁾されており、

もはや急性期看護において成人、老年を分けて考えることは困難となっています。

これは日本の人口動態統計をみてもそれは明らかです。

2022年看護教育カリキュラムが変更となり、「成人・老年看護学実習」となり、

区別することはなくなっています。

「成人・老年看護学実習」の中の老年看護学実習という位置づけになります。

老年看護学の目標

老年看護学では、ライフステージにおける老年期の課題及び老年の特性を理解し、

さまざまな健康レベル状況かにおいて、個々の老年生の完成を図れるように

援助できる能力を養います。

老年看護学の目標について示します。

老年看護学の目標
  1. 老化現象とそれに伴う老年の心理的及び社会生活上の変化を理解する
  2. 生活に視点をおいた看護のあり方の重要性を認識する
  3. 健康時から健康障害時までの老年看護活動を理解し、保険・医療・福祉チームにおける看護師の役割を認識する
  4. 老化現象による機能低下や障害に対する日常生活援助の知識と技術を習得する
  5. 老年患者が治療を受けている過程で必要な看護の知識と技術を習得する
  6. 老年期の主な疾病について理解し、看護を行うための基礎的な知識と技術を習得する

 

これら知識・技術を講義、演習、実習から学んでいく必要があります。

老年看護実習の目的と目標

老年看護学の目標は理解できたと思うので、次に老年看護学実習の目的と目標について

説明していきます。

 

老年看護学の講義・演習で学んだ知識を基盤として、高齢者が健康を維持・

回復・増進し、その人らしく、よりよく生き・生活できるよう個別的看護を

展開するための基礎的能力を養えるように実習に取り組んでいきます。

老年看護実習の目的

老年看護実習の目的は以下になります。

老年看護学実習の目的
  1. 老化現象(身体的・精神的・社会的特徴)が個人によって異なることを理解する
  2. 老年の生活が健康に及ぼす影響を知り、健康の保持・増進、疾病の予防に向けた適切な援助を日常生活に視点をおける
  3. 高齢者を含めた家族全体をとらえる中で、家族に対する看護の必要性を理解する
  4. 老年の健康障害の段階における正しい問題の把握と医療チーム内における看護の役割を認識する
  5. 老人福祉の現状を知り、老年の健康上に果たす看護の役割を理解する

前述した目的を達成するために、病院だけではなく、介護老人保健施設

特別養護老人ホーム施設併設あるいは単独の居宅介護支援事業所など

様々な場所で実習を行っていきます。

老年看護実習の目標

老年看護実習の目標は以下になります。

老年看護実習の目的
  1. 対象の生活史や価値観の理解を深め身体的・精神的・社会的側面から対象を捉えることができる
  2. 高齢者に関心を寄せ尊重した態度がとれる
  3. 対象の加齢や疾患、障害による日常の生活機能への影響を包括的にアセスメントし、看護展開できる
  4. 対象の意思・意欲を尊重し、自立度を維持しながら安全な援助ができる
  5. 高齢者の生活を支える職種の役割と重要性を理解すると共に、チームにおける看護師の役割が理解できる
  6. 高齢者との関わりから老年観を養い、自己の老年観を深めることができる

 

老年看護で行うアセスメント

老年看護で行うアセスメントは、老年期の身体的・精神的特徴等

踏まえたアセスメントをしていく必要があります。

基本的なアセスメントのポイントを以下に示します。

老年看護で行うアセスメントのポイント
  1. 発達段階(エリクソン・ハヴィガースト)
  2. 加齢変化の影響(身体・精神的機能)
  3. 疾患・障害の影響
  4. コミュニケーション(難聴・失語症・構音障害)
  5. 認知症について(ユマニチュード、HDS-R)
  6. 生活状況(社会資源、家族資源)

 

ゴードンヘンダーソンでは各項目に、解剖学的な加齢変化を盛り込むことは

必須になります。循環器系、消化器系、内分泌系、代謝系、腎・泌尿器系、

血液、呼吸器系、脳神経系、運動器系、皮膚、運動機能、感覚機能を考慮して、

老年期の特徴と患者さんが同様なのか差異があるのかをアセスメントしていきましょう。

また、フレイルサルコペニアに対する考え方も必要になります。

老年看護実習での看護展開

前述したアセスメントをもとにして看護展開をしていきます。

理論的にはどのような発達段階にいるのか身体的・精神的な機能はどうか

その人のこれまでの生活史人生観は尊重することができるか等、

大きいところから問題点に焦点を当てていくという考え方が重要になると思います。

 

問題点としては、身体機能の変化によってセルフケア不足となっている事や

転倒・転落に関すること皮膚の脆弱性リスク疾患に関することなどが

挙げられます。

 

看護計画の内容としては、患者さんの強みをみつけて残存機能を活かすことが

できるような援助に繋げていくことができるといいですね。

 

老年看護実習のポイント

老年看護実習をうまく乗り切るためのポイントです。

老年看護実習のポイント
  1. 老年期の身体・精神的特徴を踏まえたアセスメントを実施する
  2. 対象者のもてる力に合わせた生活援助が実施する
  3. 生活や価値観を踏まえた看護計画の立案をする
  4. 本人や家族の気持ちを思いやることができる
  5. 対象者の人権や権利擁護のあり方を検討する
  6. 自立に向けて多職種と協働した援助が実施する

以上になります。最後まで読んでくれてありがとうございました。

参考文献

厚生労働省:「看護師養成所の運営に関する指導ガイドラインについて」の一部改正について,2020

文部科学省・厚生労働省:保険氏助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令の公布について(通知),2020

水谷信子,水野敏子,高山成子,三重野英子:最新 老年看護学 第4版 2022年版,日本看護協会出版会,2022

堤雅恵,清永麻子,永田千鶴,齊田菜穂子:成人看護学実習 (慢性期看護) と老年看護学実習における効果的な教育の検討 – 2つの実習で高齢者を担当した学生の学びの分析 -,日本医学看護学教育学会誌,62-70,2022