看護実習知識集

呼吸困難の評価を理解して看護計画に活かす

呼吸困難の評価がわかる

呼吸困難の評価がわかる

呼吸困難とは

はじめて呼吸困難を訴える患者さんを対応する場合、

看護学生としてどのように対応していけばよいのか迷うことでしょう。

急性の経過慢性の経過癌性のものなど呼吸困難を引き起こす状態は様々です。

この記事では看護実習中に遭遇するであろう呼吸困難を訴える患者さんの適切な評価方法

対応方法を解説していきます。

 

呼吸困難とは、アメリカ胸部疾患学会の定義では、

さまざまな強さの質的に異なる感覚からなる、

呼吸が不快だという主観的な体験である。」とされています。

 

主観的な体験というのがポイントで、身体的な要因だけではなく、

精神的環境的要因によっても息苦しさを感じてしまいます。

様々な視点から呼吸困難を捉え、ケアの方法を考えていきましょう。

呼吸困難と呼吸不全の違い

 

呼吸困難呼吸不全はどのように違うのでしょうか。

似たような単語ですが、

呼吸困難は主観的であり、呼吸不全は客観的である

という大きな違いがあります。

 

呼吸困難は先ほども説明した通り、様々な要因により患者さん本人が苦しいと感じる

体験呼吸困難です。

 

対して呼吸不全とは、動脈血酸素飽和度(PaO2)が60Torr以下の状態であり、

この基準があることで客観的な評価をすることができます。

PaO260Torr以下は、SPO2に換算すると90%以下となります。

 

呼吸困難

呼吸が不快と感じる主観的な体験

呼吸不全

動脈血酸素飽和度(PaO2)≦60Torr

 

PaO2が60Torr以下の状態 + 動脈血二酸化炭素飽和度(PaC2)が40Torr以上か以下で、Ⅰ型呼吸不全Ⅱ型呼吸不全と分類されます。

 

患者さんからの呼吸困難の表現方法

患者さんからは様々な表現で呼吸困難の訴えがあります。

患者さんの訴えた言葉がどのような意味を持つのかを看護学生として

理解しておく必要があります。

 

患者さんからの呼吸困難の表現方法とアセスメント時の表現方法の置き換え

呼吸困難

 

 

呼吸困難の緊急性を判断する

恐らく看護学生が出会う呼吸困難を訴える患者さん突発もしくは急性発症による

呼吸困難ではないと思います。

 

慢性的もしくは亜急性期的な経過をたどっている患者さんが

ほとんどではないでしょうか。

ですが、臨床において呼吸困難を訴える患者さんに出会ったら

まずは緊急性を評価することが重要になります。

 

以下に緊急性の評価に応じた対応を示します。

 

呼吸困難患者の緊急性評価
  1. ABCD評価 ⇒ バイタル、フィジカルアセスメント
  2. 呼吸不全 ⇒ 酸素投与
  3. 意識レベル低下 ⇒ 気道確保の検討
  4. 循環不全 ⇒ 末梢静脈確保、補液、昇圧薬
  5. 緊張性気胸 ⇒ 胸腔穿刺、脱気 

 

呼吸のフィジカルアセスメントを行う

 

視診、打診、触診、聴診を行い、呼吸の状態を評価します。

ここでは詳しい説明は省略しますが、

看護学生でも視診、聴診は必要になりますので

清書を読んでしっかりと実践に備えておきましょう。

 

呼吸困難の評価スケール

 

呼吸困難の評価スケールは様々ありますが、

ここでは代表的なものをいくつか紹介します。

 

修正ボルグスケール

 

0から10の段階呼吸困難の程度を表すので、簡便でわかりやすく、

臨床で使いやすいスケールが修正ボルグスケールになります。

 

修正ボルグスケール

指標 自覚強度 指標 自覚強度
0 感じない 5 強い
0.5 非常に弱い 6
1 やや弱い 7 とても強い
2 弱い 8
3 9
4 多少強い 10 非常に強い

 

安静時・運動時・入浴時など日常生活の場面で

患者さんの呼吸困難の主観的評価として用いることができます。

Hugh-Jonesの呼吸困難重症度分類

 

呼吸器疾患患者運動機能呼吸困難からみた、I~V段階重症度分類になります。

Hugh-Jonesの呼吸困難重症度分類が有用です。

慢性閉塞性肺疾患患者呼吸困難の評価について提唱されたスケールです。

 

Hugh-Jonesの呼吸困難重症度分類

Ⅰ度 同年齢の健常者と同様の労作ができ、歩行、階段昇降も健常者並みにできる。
Ⅱ度 同年齢の健常者と同様に歩行はできるが、坂、階段の昇降は健常者並みにはできない。
Ⅲ度 平地でさえ健常者並みには歩けないが、自分のペースでなら1マイル(1.6km)以上歩ける。
Ⅳ度 休みながらでなければ50ヤード(約46m)も歩けない。
Ⅴ度 会話、着物の着脱にも息切れを自覚する。息切れ
のために外出できない。

 

 

修正MRC(mMRC)息切れスケール

呼吸困難の強さを確認するためには修正MRC(mMRC)息切れスケールが有用です。

 

修正MRC(mMRC)息切れスケール質問票

グレード0 激しい運動をした時だけ息切れがある。
グレード1 平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く
ときに息切れがある。
グレード2 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある。
グレード3 平坦な道を約100、あるいは数分歩くと息切れのために
立ち止まる。
グレード4 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをするときにも息切れがある。

 

息切れより日常生活の労作が、

どの程度障害されているかを示す質問項目になります。

患者さんが自分の状態を選択して、

日常生活の息切れの程度を評価することができます。(客観的評価

 

呼吸困難時の対応

 

呼吸困難を訴える患者さんがいたら状態を適切に評価して指導者受け持ち看護師

報告が必要です。報・連・相臨床でも看護学生でも必ず必要です。

 

呼吸困難時の状態を評価する時には、フィジカルアセスメント以外に

検査として胸部レントゲン、胸部CT、血液ガスなどを行い、

原因検索をしていくことが必要となります。

 

看護学生は労作によるものなのか

精神的なものなのかINOUTバランスはどうなのか

呼吸苦に影響を与えるようなエピソードがあったのか等をアセスメントして

対応を考えていく必要があります。

 

呼吸困難の緩和に有効であるといわれている口すぼめ呼吸

静脈還流を低下させ、横隔膜を下げやすくするための起坐呼吸

不安緩和のための傾聴指導者へ相談して酸素投与の検討などが

対応として必要になると考えられます。

 

看護学生さんは異常に気付き、状態を評価して

報告ができたらもうそれだけで100点です。

 

その上で治療が開始されたら、なぜこのような治療が開始されたのか

どのような状態だったのかを順を追って学習していくとよいでしょう。

 

呼吸困難の評価がわかったらアセスメントも深まると思います。

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ここまで読んでくれてありがとうございました。

 

 

参考文献

Borg, G. Psychophysical bases of perceived exertion. Med Sci Sports Exerc. 14(5), 1982, 377-81.